今回もピーチアビエーションで関空に飛び、大阪のコアな魅力に迫る
旅を体験します。大阪の中でも難波、天王寺地区を中心とするミナミは
とり澄ました感じのキタに比べるとより大阪ディープ度が深いと言われ
ています。そのミナミの中でも新世界地区は大阪のシンボル通天閣の
お膝元として、どちらかと言えば地元ロコの賑わいで栄えてきました。
少し前まで、そのディープさゆえに正直言って女性のひとり旅だとちょっ
と厳しい感じがしたのも事実です。でもこの数年で言わば「怖いもの見たさ」
の観光客がフラッと訪れても充分に楽しめる町に変身してきました。
わかりやすいルートは関空から南海電車でいったんなんばに出ます。ここ
で地下鉄御堂筋線に乗り換えて二つ目、動物園前が新世界・ジャンジャン横町へ
のゲートウェイとなります。そんなカッコイイ場所ちゃうけど。
だって駅から地上に出るといきなりおっちゃん有志が地べたに車座になって
酒盛り中。もちろん真っ昼間ですぞ。通路の真ん中で寝てはるおっちゃんも
おったりしていきなりオーサカサウスのド真ん中に放り出されるわけです。
しかし昔に比べればアブナイ感じはあまりしなくなりました。
大阪環状線のガードを潜るといよいよジャンジャン横町のアーケードが始ま
ります。ただアーケードと言っても幅が3メートルもない狭さで、その中を
酔っ払ったオッチャンやママチャリのオバチャンが始終行き来していてちょっと
他にはない独特の雰囲気を醸し出している。アーケードにはこの町ならでは
の店々が軒を並べています。串カツ屋、いか焼き屋、ジュース屋、今や絶滅
危惧種の純喫茶。将棋と囲碁の三桂クラブ。ホルモンうどんなんてのもあり
ますし、何故かジャンジャン横町美術館なる建物もあります。
しかし、今日の僕たちの目的地はただひとつ。串かつの「てんぐ」です。
隣の「八重勝」と並び立つジャンジャン横町の双璧と言えましょう。たいてい
の時間両店には行列が出来ています。筆者はこれまで「てんぐ」ひと筋で参り
ましたのでそちらに即して。あ、いつも店に入る前に大正漢方胃腸薬の服用を
忘れません。美味しく気持ちよく食べるための準備ですね。
カウンターの席に着いたら先ずビールと串カツ、エビフライにドテ焼きを注文
します。ちなみに関西での串カツは牛肉が基本です。ブタの串カツはトンカツ
フライとなります。また肉と玉ねぎを交互に刺す東日本風の串揚げもあまり
見かけないようです。
ドテ焼きというのは牛のスジ肉を白みそのたれで煮込んだコクのある
一品。
待つことしばし。目の前のステンレス製バットの金網の上に黄金色の
串カツとエビフライが置かれて香ばしいにおいが食欲をそそります。
すぐ横に置かれた深いソース容器に串カツを浸して一気にかぶりつく。
おお、うめー! ビールをグビッと飲んで、サービスで置かれている
キャベツのザクをバリバリかじって口内をクリアにしてからエビフライ
に進もう。ドテ焼きのかすかな甘さは箸休めの役割をする。
調子づいて追加注文をします。玉ネギフライ、イカフライ、とんかつ、
しいたけ。揚げ物なのにどんどん進みます。有名なのでご存じだとは思い
ますが、ソース容器は共用なので「二度づけお断り」となっています。
食べてる途中でどうしてもソースをかけ足したくなった時は、キャベツの
ザクですくって自分の皿の上でかけて下さい。
店の中、見上げる目線の先ではテレビが阪神戦を中継していて、しかも
阪神が勝っていれば、阪神ファンでありかつ串カツファンであるあなた
には至福の時が訪れます。素晴らしいオーサカディープ体験へ、
ピーチアビエーションでぜひ出かけてみてください。